インタビュー1

産地メーカーのものづくりの力で、「妖怪」を現代的なニッポンスタイルに!
インタビュー1
1963 年愛知県豊明市に生まれる。
大学卒業後、建築現場監督からはじめ設計監理業務を経て建築・空間プロデューサーとして従事、 その間、 米国・EU 諸国・アフリカを 1 年半放浪の旅に出、日本の素晴らしさに気づく。
2002.2 独立し、地域の生活文化の向上をめざし小物から家具、建築、街づくりに至るまでを 提案するスタイルショップ『REAL Style』を名古屋市中区にオープンする。
2002 年度名古屋市都市景観賞受賞
リアル・スタイル株式会社 代表取締役  http://www.real-style.jp
NPO 法人デザインアソシエーション 理事  http://www.design-channel.jp/

今日は、御社の理念に賛同する地域のリーダーの商品を扱うライフスタイルショップThe Cover Nippon(東京ミッドタウン内)にお邪魔しています。御社は、日本の各地域に根ざしたものづくりをする産地メーカーを支援するために設立されたとうかがっておりますが、具体的には、どのようなことをされているのですか。

技術力と熱意のある産地メーカーとデザイナーやショップ(流通)とのマッチング
インタビュー2
東京ミッドタウン内にあるThe Cover Shopの概観

インタビュー3
店内には「現代的な和」をテーマのもと、日本各地の産地メーカーの技術と知恵を凝らした商品が並ぶ
私たちNPO法人メイド・イン・ジャパン・プロジェクト(以下、「MIJP」)は、 各地域のなかで育まれ成長した産地メーカーと、デザイナーや産地メーカーとショップ(流通)の マッチングなどを行っています。マッチングによって新しい商品、新しいライフスタイルが生まれることで、 衰退しつつある産地メーカーが、少しでも元気を取り戻すきっかけを手にして欲しいと考えています。

たとえば、先端技術に優れた産地メーカーと伝統産業に強い産地メーカーのマッチングをすることで、 新しい商品が生まれるサポートをします。また、今回のプロジェクトのように、 新しい商品のものづくりの部分を産地メーカーに依頼する際に、 MIJPが開発をアドバイスをしています。

メーカーは技術や熱意はあるものの、何を作ったらいいのか、 どう売ったらいいのか分からないということが多いので、MIJPがデザイナーやショップとの出会いの場をつくり、 商品を開発して、実際につくって、そして販売するところまでを、トータルでコンサルテーションをしています。 このThe Cover Nipponはその販売の一部を担っていて、当社がマッチングをしたことによって生まれた商品が たくさん置いてあります。

ですので、今回のようなプロジェクトに関わらせていただける事は、 私たちにとって、本当に喜ばしいことです。これまでキャラクターグッズは、 値段を抑えるために東アジア製だったんですが、今回の妖怪だるまは日本生まれで、 技術と熱意をもった産地メーカーによって生み出されます。今回の企画が成功して、 産地メーカーが元気になるようなものであれば、どんどん取り組んでいきたいと思っています。

今回のプロジェクトにかけるMIJPさんや産地メーカーさんの意気込みを教えてください。

大人の生活に溶け込む日本のキャラクターものをつくりたい
たとえば、ピーターラビットというキャラクターがいますよね。 1759年に設立された英国のウェッジウッドがピーターラビット製品を手がけていることは、 多くの方がご存知と思います。そういうふうに、キャラクターものが、 伝統的な技術をもったしっかりとしたメーカーと出会い、 大人の生活に溶け込んでいる風景というのがあると思うんです。

日本のキャラクターものは、おもちゃ屋さんが中心です。 もっと、多様性があっていいと思うんです。そういう意味で、 今回初めて、キャラクターものをインテリアショップに置くということに期待しています。 今後、子どもに加えて、大人が使うもの、インテリアの一部としても使われる、 成熟したマーケットに日本のキャラクターものが入っていく突破口になるのかなと思っています。

大人の生活に溶け込む日本のキャラクターものをつくりたい

今回の取組では、まさに水木しげるロードがある境港市が、 水木さんの協力を元に市民の力で元気になっていったと聞いています。

そういう意味でも、今回のプロジェクトは、上からの行政からの力技ではなくて、 市民からの、地域からの力で成立するプロジェクトだと思うんです。 それを、われわれも産地メーカーの力を巻き込みながら後押しできたらいいですね。

産地メーカーが抱える課題とMIJPを設立された経緯を教えていただけますか?

仲間である産地メーカーを、日本のものづくりを活性化したい
日本は、ものすごく繊細で器用で精神性の高いものづくりがあったにもかかわらず、 衰退をしていっています。日本の各地域に根ざし、発展した産地メーカーは、 いろいろな地域で、後継者がいないところを中心に廃業というのが現実です。

たとえば、MIJP㈱の社長は、もともと婚礼タンスメーカーを経営していました。 彼の父親の時代が興した会社ですが、150人くらいの人たちを雇っていたんですね。 しかし、時代が変わって、婚礼タンスというのは、いっさい買われなくなってしまっています。

自分は継いだはいいけど、会社がつぶれそうになって、それを何とかしなきゃいけないということになりました。 そこで、テーブルのように足がついている製品、いわゆる「足もの」しかつくらない家具屋に変わったんですね。 大変な苦労をしながら変えていったわけです。

メーカーだけでなく、自らお店をやって流通・卸をやっていました。 そんなとき、ふと周りの産地を見てみたら、みんな倒産・廃業という状況でした。「これはまずい」と。

私自身も同じような気持ちをもっていて、何とかして、 この日本のものづくりを活性化したいというのが始まりです。

MIJPでは、会員の産地メーカーにどのようなサポートをされていますか?

インタビュー5
レター提灯セット
岐阜提灯協同組合の盆提灯に対する危機感から始まった本プロジェクトの詳細はこちら:http://gifulanternproject.jp/ind


インタビュー6
100種類の一輪挿し
木曽の産地である岐阜県のメーカーが作成した一輪挿し。すべて形は異なり、全部で100種類


インタビュー7
白い食器を軸に現代の和を提案
デザイナーとのコラボレーションで伝統技術と現代の和を融合した陶器づくりを目指す岐阜県のメーカー
生産、デザイン、流通までトータルにサポート

産地メーカーの抱えていた課題は何かということを考えてみると、 要はメーカーが消費者のニーズも、売れ筋も分からなければ、 販路も分からないということなんですね。つまり、技術はもっているけれど、 どう活かしていけばいいのかが分からないということです。 そういう産地メーカーをお手伝いする仕組みとして、MIJPを立ち上げました。

全ての方が自社を建て直し、流通・小売をやるのは難しいと思います。 でも、それをみんなで享受できればいいのではないかと、私たちは考えました。 だから、これはメーカーに向けてはじめたプロジェクトなんです。

MIJPには、メーカーやデザイナー、個人の会員なども全部、含めて約2,000のサポーターがいます。 メーカーには、そういう人たちと出会う場もあまりないんです。

ですから、MIJPが、メーカー同士のマッチングやコンサルテーションを行います。 ショップの経営者なんかも入るので、現場のなかに入って本当に流通まで見据えた上で、 流通させていこうという意志をもって活動しています。作るだけじゃなくて、 デザインだけじゃなくて、ちゃんと流通までやれるように。

これまでの3年半の活動のなかで、プロジェクトをきっかけにして、 20ぐらいは流通している商品があります。(右参照)

「こんないいもの、いっぱいあるじゃん!忘れてた」

もう1つ重要なことは、消費者と一緒に、日本を見直してどんどん好きになっていければと思っているんです。

うちの店に来てもらえると、消費者の方には「こんないいもの、 いっぱいあるじゃん!忘れてた」みたいなところがあります。 ですので、一般の消費者のなかに日本好きを育てていきたいと思っています。

たとえば、かつて、そして今もかもしれませんが、 日本人は欧米のブランドのものを買ってきたと思うんです。 それは、たとえば、単に食器を買うというだけではなく、 食器が示すライフスタイルに憧れたから、その食器を買うということだったと思うんです。

日本も、そういう欧米のような立場になっていかないといけないと思うんです。 たとえば、先端技術と伝統産業を組み合わせたものをつくったとしても、 東アジアの人が「ああいう生活がしたい」と思ってくれないと、 そのなかで使われているものは売れていかないと思うんですよ。

最終的には、東アジアでものを売っていかないといけません。 でも、ものだけをもっていったのでは売れないし、すぐに真似されてしまう。 ですので、スタイルをつくっていかないといけない。

日本の生活に根ざした「しつらえ」ですとか季節季節の営みの違いとか、 そういうものを、もう一回見直すことで、何でこのデザインはこういうふうなものになったのかとか、 だからこれがいいんだという本質がくっついてくるんですね。 こういうことは、「こんないいもの、いっぱいあるじゃん!忘れてた」という言葉からも分かるように、 現代の人にも十分、受け入れられると余地があると思います。

私たちは、現代の和というテーマのもと、そういう本質を取り出して、 ニッポンスタイルとして確立していきたいです。そのスタイルは、 まさに日本の精神性の高いものでないといけませんし、 当然、産地メーカーでつくるものも、おしゃれでかっこいいものになりますよね。

インタビュー

佐藤オオキ

妖怪だるま デザイナー nendo 佐藤オオキ 氏

デザインでつなぎたい、「妖怪」と「伝統工芸」、そして「世界」

1977年 カナダ、トロント生まれ 2000年 早稲田大学建築学科首席卒業、 2002年 早稲田大学大学院修士課程修了後、有限会社nendo設立。
2005年 ミラノオフィス開設。NHK「TOP RUNNER」出演、 Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100人」選出、 2007年 Newsweek誌「世界が注目する日本の中小企業100社」選出。

妖怪ニュース&コラム
権田純一

鳥取県境港市 水木しげるロード振興会 会長 権田 純一 氏

「妖怪」と「市民」の手作りで生まれた、鳥取県随一の観光地「水木しげるロード」

1953年2月28日生まれ。鳥取県境港市生まれ。父の代、50年前から続く駄菓子屋を水木しげるロードで経営。 2003年に水木しげる記念館が完成し、水木しげるロードの拡張や水木しげるロード振興会の新規会員の勧誘など、 さらなる活性化を目指し、2006年から水木しげるロード振興会の会長に就任。

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