インタビュー1

デザインでつなぎたい、「妖怪」と「伝統工芸」、そして「世界」へ。
インタビュー1
1977年 カナダ、トロント生まれ 2000年 早稲田大学建築学科首席卒業、 2002年 早稲田大学大学院修士課程修了後、有限会社nendo設立。
2005年 ミラノオフィス開設。NHK「TOP RUNNER」出演、Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100人」選出、 2007年 Newsweek誌「世界が注目する日本の中小企業100社」選出。

まず、会社名である「nendo」とは、どんな意味を込めているのですか?

形や色を柔軟に変えていく粘土

私たちは、自由に、柔軟な発想でデザインをしていきたいという意味を込めて、 「nendo(ネンド)」という名前で活動させて頂いています。 形や色を柔軟に変えれる粘土のような活動をしたいな、ということです。 その都度、その都度、「正しいと思うデザイン」を模索していく、そういう方法を大切にしています。

「正しいと思うデザイン」は、「無理をしていない」デザイン

日常生活に溶け込みすぎるのでもなく、日常生活のなかにちょっとした非日常というのが多分あると思うんですね。 そういうものが、人びとの生活を豊かにしてくれると思っています。 それは喜びあるかもしれないし、驚きかもしれないし、ユーモアかもしれない。

ちょっとした発見とか、「おやっ」と思う瞬間があると思いますが、 普段、人は気付かなかったり、気付いてもそれをリセットする能力が人間にはあると思うんです。 それをあえてリセットせずに留めておいて、もう少し分かりやすい形にして日常に還元していくような、 そういう考え方が近いかもしれないです。

まったく何も無いところから「ポン」と何かを生み出すとか、 まったく非日常的なものや空間を生み出したいという思いは全然無くて、 どこかで体験したことがあるなとか、ちょっと嬉しいなとか、 いっぱい驚かすのではなくてちょっとびっくりしたなとか、 そういう微妙な感覚というものを大事にしています。 「無理をしていない」ということが大事なのかなと、 肩の力が抜けているというか、そういうのが今の日常で求められているデザインなのではないかなと考えています。

「妖怪だるま」をデザインすることとなったきっかけは、鳥取県の境港の水木しげるロードに見学にいったことだったのですよね?

一人ひとりの個性や想いから作られるボトムアップの街づくりへの感動
インタビュー2
水木しげるロードの入り口
境港駅前の銅像
最初、「どんなふうになっているのかぁ」という興味本位で見学させていただいたのですけれども、 本当に手作りで町づくりというか、町を盛り上げているというのは素晴らしいなと思いました。

日本中で、村おこし、町おこしで失敗しているケース、ボーンと大きい市民センターとかをつくって、 誰も使わなくなってしまって、結局、もっとひどくなってしまったというケースがあったりします。 そういう上から俯瞰する都市計画というのはいっぱいありますが、これからの時代というのは、 このやり方では、なかなかソフトを受け入れるだけのハードを作れないという考え方になってきています。

どちらかというと、たとえば秋葉原というのは世界的に見ても稀な都市計画で、 そもそも電気街として作られていたのに、一人ひとりの思いや趣味みたいなものが、 どんどん街にあふれ出して、それが街の個性を形成してしまっているというボトムアップで街づくりをしています。 こういう都市計画というのは本当に稀であって、それを今の都市にどう落としこめるかの研究が進められています。

この縮図みたいなものが、実はあの水木しげるロードにあるのではないかなと思いました。 シャッター商店街で始まって15年間、20年間かけて、みなさんの手で、 このキャラクターというコンテンツを使って大事に大事に育てて今がある。 年間150万人以上の人が訪れる場所になっているというのは、素晴らしいなと思いました。
まずは小さなところからお手伝いしたい
そうしたなかで、自分がデザイナーとして何ができるのかなと思ったときに、 ボーンと上から覆ってしまうような考え方ではなくて、むしろ皆さんより、 さらに下のところからサポートしていくような小さなもので、 何か話題になるものですとか、皆さんのお手伝いになるようなことができたらいいなと思って、 こういうグッズ制作はすごくいいなという気がします。 そして、これは自分にとってもチャレンジだと考えています。

「妖怪」をデザインする、ということについて、最初の印象を教えてください。

日本はキャラクター大国
インタビュー2
今まで「妖怪」をデザインする、というのは考えたことがなかったので、びっくりしましたが、 同時にすごく面白そうだなというのが最初の印象でした。

冷静に考えてみると、いま日本はこれだけ多くのキャラクターを生み出して輸出する 最大の国だったりもするのかなと思います。

ターゲットごとにキャラクターがいたり、オールターゲットなキャラクターがいたり、 本当に自由に、生み出すほうも、利用する方も使いこなしたりしていて、 こんな国は世界的に見ても稀だなと思っています。そこから生まれている 「かわいらしさ」とか、「ユルい」という感覚は、日本独特の感性だと思います。 今、海外からも注目されている「かわいい」という言葉は特に大きなキーワードに なってくるんじゃないかなと思っています。
妖怪は日本独自の一番最初のキャラクター?
そういう流れのなかで、「妖怪」を見たときに、妖怪は、 実は日本の一番最初のキャラクターだったりするのかな、と。 自然の現象や物事に対して、それをキャラクター化することで、 メッセージを伝えていたり、物語を生み出したり、それぞれに意味合いがあるというのは、 本当にキャラクターの原型だと思うんです。

今の世の中に出回っているキャラクターをみても、 これだけ多種多様なキャラクターが混在するのは妖怪くらいで、 これは日本独自のものなのかという気がします。

そこにデザインの力でもう少し何か、それを理解しやすくしたりとか、 日常生活にフィットするような形でチューニングしていきたいと考えています。 そうすることで、日本はもちろん、世界に対して発信していけるような、 そういうコンテンツになるのではないかという気がしています。

今回のグッズ制作に込めた想い、教えてください。

妖怪をいかすための日本の伝統工芸×デザイン
インタビュー2
単なるキャラクターグッズのなかに収まっていてはいけないという気はしています。 何かそこでも化学反応が起きなくてはいけなくて、そこに新しい視点、 妖怪の新しい魅力を引き出すような切り口というのは非常に重要な気がします。

そう考えたときに、1つはデザインというのは重要だと思うんですけれども、 もう1つの切り口として日本古来からの職人、伝統工芸であったり民芸であったり、 職人の技術って、まだまだたくさんある、実は眠っているというか、残っているところがあります。 それの行き場が無くて、エネルギーが溜まっているような状態になっています。

そういう伝統工芸とデザインがうまくあてはまるケースというのは、まだあまりなくて、 ひょっとしたら今回、町おこしのための妖怪、 妖怪をいかすために民芸とか工芸とかそういうものを組み合わせていく、 その接着剤というか潤滑油のような役割としてデザインが登場すると、 実はうまく当てはまるんじゃないのかなという気がしています。

というのも、今回、妖怪というのはたくさん種類がいたりですとか、 120種類以上すべてだるま化することは、今の大量生産のシステムでは、 かなり大掛かりなことになってしまいます。その解決策がだるま職人というシンプルなものです。 職人の方が1つ1つ丁寧につくってもらうことで楽しめる、 場合によっては店ごとに違う種類を入れるのかもしれないですし、 いろいろと仕掛けることもできて、すごく楽しいんですよね。
妖怪だるまを通して、つながること。
今回の妖怪だるまを通して、今まで妖怪に興味をもっていなかった人が水木しげるロードに 来てくれてさらに町が活性化していったり、海外の方に妖怪に興味を持ってもらったり、 ということに最終的につながっていけばと思っています。

インタビュー

鶴田浩

特定非営利法人メイド・イン・ジャパン・プロジェクト 代表 鶴田 浩 氏

産地メーカーのものづくりの力で、「妖怪」を現代的なニッポンスタイルに!

1963 年愛知県豊明市に生まれる。大学卒業後、 建築現場監督からはじめ 設計監理業務を経て建築・空間プロデューサーとして従事、その間、 米国・EU 諸国・アフリカを 1 年半放浪の旅に出、日本の素晴らしさに気づく。
2002.2 独立し、地域の生活文化の向上をめざし小物から家具、建築、 街づくりに至るまでを提案するスタイルショップ『REAL Style』を名古屋市中区にオープンする。
2002 年度名古屋市都市景観賞受賞

妖怪ニュース&コラム
権田純一

鳥取県境港市 水木しげるロード振興会 会長 権田 純一 氏

「妖怪」と「市民」の手作りで生まれた、鳥取県随一の観光地「水木しげるロード」

1953年2月28日生まれ。鳥取県境港市生まれ。父の代、50年前から続く駄菓子屋を水木しげるロードで経営。 2003年に水木しげる記念館が完成し、水木しげるロードの拡張や水木しげるロード振興会の新規会員の勧誘など、 さらなる活性化を目指し、2006年から水木しげるロード振興会の会長に就任。

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